のん(能年玲奈)の大先輩?1人で映画会社と戦った昭和の美人女優山本富士子
“のん”に改名した元能年玲奈の独立騒動などを受けて、“芸能界には暗黙のルールがあり破ると干される”という報道が相次いだのは記憶に新しいですね。その後、のんはアニメーション映画『この世界の片隅に』(11月12日公開)でアニメ声優で初主演を務めるなど、新たな舞台での活躍を模索しているように思えます。
【能年玲奈】玲奈ちゃんが改名して芸能界にもどってきた!! #能年玲奈 #のん https://t.co/oN37qAy1O4
— のん(能年玲奈)ちゃんねる (@nounen_channel) 2016年7月16日
芸能界に暗黙のルールがあるのか無いのか、真偽のほどは分かりません。しかし“人気女優がルール違反で干されてからの、華麗な転身”と聞くと、昭和の女優ファンとしては、映画界の悪名高い“五社協定”に違反したと映画界から追放され、TVや舞台という新しい世界に活路を見出した美人女優・山本富士子の存在を思い浮かべてしまいます。
■船場のお嬢様が日本一の美女に、映画会社の争奪戦
1931年(昭和6年)、山本富士子は、大阪、船場の綿花問屋に生まれました。京都の女学校卒業後、デザインや英会話を習っていた1950年、第1回ミス日本に選ばれます。渡米してミス日本としての活躍後に帰国した際は、映画会社各社の争奪戦を巻き起こし、1953年大映と契約します。
その後、類まれな美貌に胡座をかくこともなく、コツコツと演技力に磨きをかけ、吉村公三郎監督『夜の河』(56)がキネマ旬報ベストテン第2位となり、NHK女優賞を受賞。日本映画黄金時代を代表する大映の看板女優としての名声を得ます。
山本富士子pic.twitter.com/W6TuEuEriD
— 美しき昭和女優 (@Y_Japan_Actress) 2016年6月10日
■スター俳優を縛る悪名高き“五社協定”とは
1953年、主要な映画会社5社は監督・俳優の引き抜きを禁じる“五社協定”を結び、スターが自ら出演作を選ぶ権利を制限しました。山本富士子も例に漏れず、大映専属でいるかぎり、脚本を読んで出演するかしないかを決定する主権は会社にありました。
山本富士子美しい。 pic.twitter.com/Z0ZYZhkaOC
— レギオン組 (@matangoke) 2016年10月3日
1962年に結婚した彼女は、1963年で大映との10年契約が満了になったことをきったけに、“五社協定”に縛られる大映を離れ、フリーになることを決意します。ところが“五社協定”の縛りを守りたい映画業界は、フリーになった山本富士子に圧力をかけ、映画の仕事を妨害します。
山本富士子
— Moon River (@kozy1965) 2016年6月25日
#美人だと思う人を挙げる pic.twitter.com/NPCbCoj9QU
■時代は彼女に味方した!干した映画会社が潰れ彼女は活躍
以前から出演契約を交わしていた会社まで契約を反故する中、山本富士子は、自らも映画業界に見切りを付け、テレビドラマと舞台に活路を見出します。彼女に救いの手を差し伸べたのは、現在もテレビドラマ界のレジェンドとして活躍する、石井ふく子プロデューサーです。東芝日曜劇場『明治の女』で復帰した山本富士子には、映画会社の彼女に対する仕打ちに心を痛めていたファンからの応援レターや電話が殺到したと言われています。
山本富士子さんの事はwikiに載ってる事しか知らんけど、歪な力関係みたいのは昔から変わってないんだろな。https://t.co/rwxVr22AUx pic.twitter.com/4pHEsIAiKU
— おきあき (@pede_dienes) 2016年4月19日
その後、山本富士子にはテレビや舞台からの出演依頼が目白押しに。現在も舞台を中心に活動しています。その一方、“引き抜きや移籍は映画会社にダメージを与える”という自社の都合で、アーティストの活躍を制限した時代遅れの映画業界は斜陽になり、日本映画界は衰退の末、大映は倒産。山本富士子は自らを締め出した映画業界と、関わりを断ちました。
いつになったら市川崑映画祭に行けるのか、、、#黒い十人の女#山本富士子 pic.twitter.com/FOIRpCqFC2
— 蓮根 (@JINGI_NO_HAKABA) 2016年1月23日
■かつての圧力に感謝するほどの充実した人生
船場生まれのお嬢様がたった1人で映画業界の見えない圧力と戦った……。想像を絶する話ではありますが、時代が味方したのは山本富士子の方でした。彼女は当時のことを
<五社協定がありましたから思いがけない舞台の道に進むことが出来て、良かったと思っております(引用:『君美しく』川本三郎・文春文庫)>
と振り返っています。下記の写真では、三度笠並みの大きな麦わら帽子の脳天に花を咲かせている山本富士子。その華やかさは、白黒にもかかわらず鮮やかで目を奪われます。
山本富士子、日本映画界の愚行に見切りをつけて去っていった - https://t.co/Xr14dVwfvD pic.twitter.com/sVEWM3oOsV
— シネマズ by 松竹 (@Cinemasby) 2016年10月2日
一般人が真似をしたら、『はなかっぱ』(NHK系アニメ)にも見えかねない奇抜さですが、さすが絶世の美女、気品あふれる迫力ですね。
はなかっぱの口が別の生命体にしか見えない pic.twitter.com/gDmxhUq63r
— まなと (@pippi398) 2016年10月22日
日本人には難しい“アラジン”風のターバンのエキゾチックな艶っぽさで自分のものにしています。
『釈迦』クナラ王子(市川雷蔵さん)ウシヤナ妃(山本富士子さん)思わず見惚れてしまう。 pic.twitter.com/EHP8oBElKK
— hinako (@hondara43089325) 2016年6月27日
どこの業界にも、人員の流出を防ぐための“暗黙のルール”はありがちですが、才能はそれを超えて人々の心に訴えかけ、自由に広がるもの。枠をはみ出しても進もうとするアーティストのファンにとって、希望を感じるお話ですね。
※ 参考 - 君美わしく - 戦後日本映画女優讃 - 川本 三郎(著) - (文春文庫)
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(星野小春)