怖い絵を描く女は美しい?ドロテア・タニングのゾッとする少女性とエロスの世界
過去記事、 「怖い絵を描く女性画家はなぜ美しい?レオノーラ・キャリントンと美女達のゾッとする絵の世界」 では、20世紀前半のシュール・レアリズム全盛期の有名画家・マックス・エルンストの恋人で、同じくシュール・レアリズム画家であり、小説家や戯曲家としても世界的に有名な、才能あふれる美女・レオノーラ・キャリントンについてご紹介しました。
Lee Miller, Leonora Carrington, 1937 pic.twitter.com/n1iQ4VbVlD
— Ma Belle (@mahbelle_) 2016年7月30日
ケルトの伝統に根ざし、魔術や死、呪いなど、薄暗い地下の空気感を滲ませた禍々しく美しい作品の数々は、キャリントンの美貌も相まってよりいっそう神秘的にうつり、21世紀の今も熱狂的なファンを持っています。
Yo tan Leonora Carrington, tú tan Frida Kahlo.https://t.co/JsZDWS3fsf pic.twitter.com/LKrnUXhrpq
— Cultura Colectiva (@CulturaColectiv) 2016年8月16日
今回は、そんなレオノーラ・キャリントンとマックス・エルンストが、第二次世界大戦勃発の影響で亡命し、別離を迎えた後に、マックス・エルンストの妻となった、やはりシュール・レアリズム画家の美しい女性、ドロテア・ダニングと、彼女の絵画についてご紹介します。
Dorothea Tanning. Pintora, ilustradora, escultora y escritora estadounidense. pic.twitter.com/kDbHa8hBh1
— Nõid. (@Aiatar) 2016年5月20日
1910年アメリカ合衆国イリノイ州に生まれたドロテア・ダニングは、2年間大学に通った後、20歳で家出同然でシカゴ美術大学へ入学します。しかし数週間で退学してしまい、独学で絵を学びながら、1941年に作家のホーマー・シャノンと結婚しますが、1年後には離婚。
その後、メイシー百貨店の広告を書くイラストレーターとして才能を見出され、シュルレアリスムや前衛芸術の画商であるジュリアン・レヴィ画廊から展示の依頼を受けます。
1942年、パーティで初めてマックス・エルンストと出会い、エルンストはタニングのセルフ・ポートレートを気に入り、「誕生日」というタイトルを付けます。2人は共通の趣味であるチェスを通して親しくなり同棲、1946年に、タニングはエルンストの4番目の妻となり、生涯を共にします。
ドロテア・タニング(1910〜2012)による「誕生日」(1942年)。アメリカのシュルレアリスムの画家。マックス・エルンストの妻でもありました。 pic.twitter.com/VmhquqapSq
— 龍國竣/リュウゴク (@Ryuugoku) 2014年12月11日
アーティステックな美女と次々浮名を流したエルンストと生涯を通してパートナーでい続けた理由として、タニングは自叙伝の中で、“エキセントリックではない”と言う性格的特徴を挙げています。
「たいていは美しく、狂っているとは言わないまでもみんなエキセントリックな人ばかり(中略)それが引き起こす悲劇は、私のような愚かな女には決して訪れないものだった。それが分かっているからこそ、彼は私をそばに置いたのだ」(『ドロテア・タニング』(彩樹社)より引用)
エルンストが愛したあまたの女性……著名なシュールリアリズム画家を含む多くの芸術家肌の美女達は、往々にして、魅力的でありながら、激しい性格でもあったようです。
しかし、タニングの作品も凡庸であったか? と問われれば、好みは分かれるものの、充分狂気を感じる幻想的な魅力に溢れています。
こんな死神はイヤだ。
— Yukiko Hayashi 林由紀子 (@PsycheYukiko) 2014年9月27日
「少女と死」ドロテア・タニング pic.twitter.com/a5WG4uWcFx
モーツァルト曲名をタイトルにした絵画である『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』 (Eine Kleine Nachtmusik 1946年)は、漫画好きの日本人が見ると、どことなく、荒木飛呂彦の人気漫画『ジョジョの奇妙な冒険』(集英社)に通ずるものを感じます。
“There is more than meets the eye.” Dorothea Tanning https://t.co/5jyzzj23Ck #SurrealEncounters pic.twitter.com/Xn9yr547OA
— National Galleries (@NatGalleriesSco) 2016年8月10日
『不思議な国のアリス』のようなガーリーでロリータ的な世界観と、不条理な怖さ、加えて“少女とエロス”というタブー感を滲ませた作品も多く見られます。
#museum: Dorothea Tanning - The Philosophers (1952) | https://t.co/b5AWwBJquH pic.twitter.com/J4ghkrYmIC
— r/ (@bzdt3) 2016年7月25日
シュールで不吉な絵でありつつ、どこか童女の見る悪夢のような無邪気さを感じる1枚も。それでいて、まだ幼い娘の腰から脚にかけての捩りが妙にエロチックです。
"L'abbraccio" by surrealist painter Dorothea Tanning. #DogsinPaintings pic.twitter.com/p4l2Ulqrwq
— Terri Windling (@terriwindling) 2016年8月16日
シュールレアリズム画家の作品は、死や腐敗や幻覚など、本来なら不気味であるはずのものを幻想的に描いた作品も多く、美しく魅力的でありながらなかなか飾る場所を選ぶものが多いですが、彼女の初期の作品の中には、百貨店の広告画家として活躍したポップなセンスの名残でしょうか? 「リビングにも飾れる?」と思うような、「深く考えなければ普通に美しい」ものも見られます。女性がシュール・レアリズム画家の作品に興味を持つきっかけとしてはとっつきやすく、間口が広い作家ではないでしょうか?
Dorothea Tanning #surrealism pic.twitter.com/gxkbDW6Rzh
— ColleenK.Ernst (@cke5) 2016年7月12日
童話的でまぁるいフォルムが可愛らしい、絵本の挿絵のような作品も。しかし、よく見ると遠近感の狂いを感じ、人を不安にさせる要素満載です。
Family Portrait (1954)
— Art + Artists (@Argy_Papa_) 2016年5月15日
by Dorothea Tanning (American, b.1910 d.2012) pic.twitter.com/v8TFQGEAgD
1944年年、エルンストとタニングはアリゾナ州セドナに引越し、砂漠の近くに居を構えます。現代ではパワースポットとしても有名なセドナでひたすら作品を生み出し、その後、2人は南仏のプロヴァンスと移り住みます。
"Capricorn" ;-) Dorothea Tanning & Max Ernst #art photo © 2013 ProLitteris Zurich https://t.co/brSythrWj6 pic.twitter.com/AxFljVtCsO
— Armin Ganguly (@RIBA_architect) 2016年5月18日
恋多き男で、才能あふれる美女と浮名を流し続けたエルンストが1976年に死去するまで、30年の結婚生活を添い遂げたタニング。後期には抽象的表現に傾倒し、晩年まで精力的に作品を生み出し続けます。
友達はマックス・エルンストなくが好きですが私はその奥さんのドロテア・タニングも好きです(最近その存在を知った) pic.twitter.com/8WvqqM2uyr
— も も こ (@rana0611) 2015年12月16日
そして、2012年、ニューヨーク・マンハッタンの自宅で死去。101歳の長寿でした。
#DorotheaTanning by Man Ray, 1942 pic.twitter.com/2vHRMuF5TJ
— letras con arte (@mariarosgo) 2016年7月21日
奇しくも、冒頭でもご紹介した、同じくエルンストの恋人として有名なシュール・レアリズム画家、レオノーラ・キャリントンが、2011年にメキシコで、94歳の生涯を閉じています。
#ElDato | Un día como hoy, pero de 2011, muere Leonora Carrington: la mujer que se atrevió a dar la razón al corazón pic.twitter.com/ATYXoibE6B
— Incidencia Puebla (@incidenciapue) 2016年5月25日
美貌のシュール・レアリズム画家、と聞いただけで、精神的に脆く薄命なイメージを持ってしまいますが、才能豊かで自分の中の狂気を飼いならす生命力に満ちた美女を愛した、マックス・エルンストという男性を巡る女性達の魅力をあらためて思い知らされるエピソードです。
※ 参考 - ドロテア・タニング(彩樹社)
「近代芸能史を彩る美女たち」記事一覧
※能年玲奈が“のん”に改名!同じ事務所で改名したこずえ鈴の近影と類似前例まとめ
※この可愛い娘は南北戦争時代の女の子?神秘的な19世紀の美女写真
※怖い絵を描く女性画家はなぜ美しい?レオノーラ・キャリントンと美女達のゾッとする絵の世界
※『とと姉ちゃん』でも注目!戦前・戦後の美少女オシャレファッションまとめ
※60年代ワンピブーム到来?「ビートルズ」&「ストーンズ」彼女達の着こなしまとめ
※M・ジャクソンの娘美少女パリス過激化で話題…でもそんなことより猫がかわいい
※激痩せアンジェリーナ・ジョリーと妖精のような実母&イケメンすぎる娘の美女3代
※浅丘ルリ子に吉永小百合…伝説の昭和美少女のカラー映像をまとめてチェック
※ポスト松田聖子だった美少女・沢田富美子が数十億の資産を築くまでの波乱の半生
※爆乳SEXシンボル…ジェーン・マンスフィールドのド派手な私生活と壮絶な死
※ドイツ映画初ヌードになった美女ヒルデガルド・ネフは元男装のナチ少女?
※13歳の覚せい剤と枕営業…美麗なる清純派ジュディ・ガーランドの闇
※幕末・明治の伝説の芸妓…江良加代と安藤照子の妖艶な美貌
※M・ジャガーと同性愛?デヴィッド・ボウイと前妻アンジーの奇妙な夫婦生活
※『あさが来た』に続け?ドラマ化したい昭和初期の美少女達
※斉藤茂吉の推しメン?90歳すぎても粋な昭和初期トップアイドル明日待子
※朝ドラっぽい?柳原白蓮より波乱万丈な大正生まれ天才美少女 諏訪根自子
※年を取らない?30年近く見た目が変化しない美女イザベル・アジャーニ比較画像
※全裸より妖艶な裸サスペンダー…シャーロット・ランプリングの成長を追ってみた
※銃殺された男装の王女と少女スター…李香蘭を巡る美女達の哀しい運命
※【悶絶】日本映画史上最強のSEXYロリータ?過去の加賀まりこが妖精すぎた
※グレイス・ケリー、イングリット・バーグマン…美しく成長した銀幕スターの孫娘達
※ボブ・ディランとアンディ・ウォーホルを虜にした60年代最強の妖精イーディ
※あなたは誰派?ロリータ系美少女揃いのジョニー・デップ歴代彼女
※映画史上初めてヌードになった絶世の美女は天才理系女子だった
※あなたはどっち派?ビートルズの女VSストーンズの女・超絶美少女対決
※今はなき美女たちの残像…妖艶すぎる100年前の美女写真がすごい
※今はなき美女たちの残像…約80~100年前の美少女・美女動画
(星野小春)