はんなり、ひかえめ?京都発アイドル「ミライスカート」の本当の姿とは?

2015/12/26 10:00 小池啓介 小池啓介



ナモナイオト Type-A ミライスカートver.
ナモナイオト Type-A ミライスカートver./


「京都発のアイドル・グループ」といわれたら、皆さんはどういったアイドルの姿を想像するでしょうか?

六組目としてご紹介するアイドル・グループは、京都を拠点に活動するミライスカートです。

2014年春に結成。メンバーは、児島真理奈(リーダー)、相谷麗菜、林奈緒美、橋本珠菜の四人。ちなみに、京都が2名、大阪と奈良がそれぞれ1名ずつと出身も関西方面となっています。

グループ名の由来は、未来へ旅立つための“スカート”をイメージしたもの。スカートには女の子の服とともにロケットのスカート部分の意味も込められています。ネーミングのセンスにも品の良さがあらわれているように感じられますね。
キャッチコピーは、「京都から発信する“はんなり”&“ポップ” なアイドルユニット」。


■はんなり過ぎるキャラクター

さて、冒頭の問いに対する多くの人のイメージは、だいたい合っていると思われます。
キャッチコピーにもあるような“はんなり”感がグループの大きな個性です。
ライブのMCやメディアでのおしゃべりなどを聞くと、“京都”のイメージそのままの“はんなり”=上品な明るさをまとった穏やかな雰囲気をたっぷりと発しているのです。そして、どこか遠慮がちでもある。

衝撃的だったのが、テレビ地上波初出演のさいの出来事(某動画サイトにも上がっています)。
自分たちの「ライブの魅力」を質問されたリーダーの児島真理奈は、いきなり「全曲agehasprings(アゲハスプリングス)に作ってもらっている」と自分たち自体の魅力とは違うところから語りはじめました。

かたちだけでも、全力のパフォーマンスを観てください、くらいはアピールすればいいのにと思うのですが、真っ先に挙げたのが、agehasprings(アゲハスプリングス。詳細ははぶきますが、凄腕揃いの音楽制作チームです)。いくらなんでも謙虚に過ぎるでしょう。

でも、確かに楽曲の質の高さがミライスカートの重要な部分を担っていることは、はずせないポイントです。リーダー、間違ってはいない。 間違ってはいないけど――ともあれシングルを2曲お聴きください。


初のシングル作品「ナモナイオト」



続いて、メジャーデビューシングル「COSMOsSPLASH」



2曲ともいわゆるエレクトロ系のとても爽やかな曲調です。きらびやかな音と斉唱(ユニゾン)の心地よさについつい耳を奪われますが、裏側でシンセベースがしれっと凶悪に鳴っている部分もたまりません。


■楽曲に対する絶対的な信頼

でも、いくら曲がよくても、本人たちがさまざまなことに遠慮し過ぎていては、これで群雄割拠のアイドル界で存在を確立していけるのか? と心配になってしまいます。

問題ありません。
ライブの場ではそういった“はんなり感”をキープしつつ、激しいパフォーマンスが繰り広げられるからです。
彼女たちの本来の姿は、やはりライブの場にこそある。けっこう、客席を煽ってきます。はじめて生で見たときは正直びっくりしました。

ミライスカートのライブでは――おそらく楽曲に対する信頼感が絶対的な自信となって――鮮烈なステージが展開します。この辺りの音楽との信頼関係からはPerfumeに近しい感覚を受けますね。

自分たちを見せるということに加えて、agehaspringsの手になる名曲をオタクに――もとい音楽を好きな人たちに届けるんだという、一種の使命感のようなものもそこにはあるのかもしれません。

はんなり京女のたたずまいと力強いパフォーマンスの絶妙なブレンドが、ミライスカートというグループの独自の味わいになっているのだと思います。

この一歩引いたふわりとしたキャラクターを継続しつつ、エッジの効いたとんでもないクオリティの音楽で世の中をあっといわせてもらいたい。 そんな期待を彼女たちには抱いてみたくなります。

格好良い音楽が聴きたい人。もしもあなたに、アイドルはちょっと……という色眼鏡があるのだとすれば、それを一度はずして京都発の良質なポップミュージックに耳を傾けてみませんか?

(小池啓介)


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