秋に飲みたい!お茶通の徳川家康公も愛した、秋の新茶「蔵出し茶」
こんにちは。satominです。
「茶摘み」の唄にも
「夏も近づく八十八夜、野にも山にも若葉が茂る」とあるように、立春から数えて八十八夜にお茶を摘みます。
毎年4月下旬から5月上旬くらいに摘まれたものを「春の新茶」と呼びます。
そう、新茶といえば「春」が当たり前なのですが、あまり知られていませんが、「秋」にも新茶があるのです!
この「秋の新茶」と呼ぶものには、2通りのお茶があります。
— 猫 (@asiogimuto) 2013, 9月 23
1つは、秋に摘んでお茶にした「秋摘み茶」です。
「秋摘み茶」「秋摘み新茶」とも呼ばれます。
春の新茶の頃の気候に似ている「秋分の日」頃(9月中旬~10月中旬)に、お茶の樹は最後の芽を伸ばします。
その新芽を摘んだものを「秋摘み茶」と呼びます。
もう1つは、「秋の新茶」と呼んでいるものに「蔵出し茶」があります。
「熟成茶」「蔵出し熟成茶」とも呼びます。
その年の春の新茶を、春から秋までの間低温貯蔵して熟成し秋に仕上げるお茶です。
春の新茶が低温保存で熟成されることによって、旨みが引き出されます。
今朝は「岐阜県、鹿児島県、静岡県」の品種の違うそれぞれの茶葉を、イチノミヤにちなみ、1対3対8の比率でオリジナルブレンドした「138ブレンド・秋の蔵出し茶」で仕事前の一服・・・・80g詰/1000円(税別) pic.twitter.com/qEaxcantSX
— 尾張一宮 お茶の福壽園 (@138_fukujyuen) 2014, 9月 17
春の新茶を荒茶という状態で冷暗所に秋まで寝かせ、秋に軽く火入れをして仕上げたお茶を「秋の新茶」と呼びます。 PC)http://t.co/m1PkgpsP 携帯)http://t.co/hp97vsOF
— 大丸福岡天神店 (@daimaruFUKUOKA) 2012, 10月 14
農家で生産されたお茶を「荒茶(あらちゃ)」と呼びます。この荒茶の状態で基本的には保存され、秋に蔵出した荒茶を火入れをして仕上げます。
日本酒には「ひやおろし」といって冷蔵庫で保管し熟成させたお酒を秋に火入れして出します。お茶にも同じ仕組みがあるんですね。蔵出し茶といって蔵(冷蔵庫)に保管し熟成させ秋に火入れして出すお茶です。 http://ow.ly/2KRfH
— 水谷哲也 (@tetuya_mizutani) 2010, 9月 28
日本酒にも同じような「ひやおろし」というのがあるんですね。お茶とおなじように角がとれて美味しくなってそうです。
この蔵出し茶、最近の製造方法ではなく、歴史は古く江戸時代からあったもので、徳川家康公がはじまりと言われています。
家康公は春に摘んだ新茶を茶壺に入れて密封し、標高の高い大日峠にあるお茶壷屋敷のお茶蔵で貯蔵させ、秋に熟成したお茶を飲んだそうです。
秋にも美味しいお茶が飲みたいほど、家康公はお茶好きだったんですね。
「ずいずいずっころばし
ごまみそずい
茶壺におわれて
トッピンシャン
ぬけたらドンドコショ」
というわらべ歌にもある、「茶壺道中」は京都宇治から江戸城までお茶を運ぶ一行のことですが、静岡の大日峠から駿府城へと熟成させたお茶を運ぶ「お茶壷道中」もありました。
運ばれたお茶壺の「封切り」「口切り」を家康公がおこなうので、秋になって初めて飲むその年のお茶を「蔵出し茶」、または「封切り茶」ともいいます。
『駿府本山お茶まつり』
お茶壷が蔵出しされ、駿府お茶壷道中の「道中安全祈願」出発式をしました。
井川大日峠の山の中から、明日は静岡の海、目の前にある久能山東照宮に向かいます。 pic.twitter.com/cILRqIod
— 世界お茶まつり2013 & CHA88 (@ocha_festival) 2012, 10月 27
現在は、駿府本山お茶まつりで駿府お茶壷道中が再現され、当時の様子が伺えます。明日行われる「駿府本山お茶壺道中行列」は、井川の「お茶蔵」から駿府まで茶壷が運ばれる行列を再現したもので、茶壷に収められた熟成本山茶は井川から久能山への道のりを経て、口切りの儀によって東照宮の御前へと奉献されます。
— 久能山東照宮 (@kunouzan) 2011, 10月 29
井川大日峠から久能山東照宮までおよそ40kmも運ばれます。Tokugawa Ieyasu Tea
徳川家康公が愛した熟成本山茶・駿府お茶壷道中行列 http://t.co/HY1A0NqN
— Japanese tea/静岡 浜佐園 (@hamasaen) 2011, 12月 14
「蔵出し茶」の貯蔵は昔は蔵でしたが、いまは夏場でも温度が一定に保たれた保存室・冷蔵庫などで貯蔵されます。
ワインやウィスキーのように、春の新茶が寝かされて熟成されるので、角がとれてまるみがでて、蔵出し茶が好きという方もいます。
同じ品種や作り手さんの同じお茶を、春の新茶と秋の新茶で飲み比べてみるのもお茶好きならではの楽しみ方かもしれません。
次の春の新茶までの間、秋にまとめ買いした蔵出し茶を飲むという方も。
新芽のフレッシュさや爽やかな風味を楽しむなら「春の新茶」。
熟成されたまろやかな旨みを楽しむなら「秋の新茶・蔵出し茶」。
ボジョレー ヌーヴォーが春の新茶なら、秋の新茶・蔵出し茶は熟成ワインというかんじでしょうか。
最近熟成肉というのが巷では話題になっていますが、いままで蔵出し茶を飲んだことがない方は一度飲んでみてはいかがですか。
熟成された秋の新茶・蔵出し茶と、旬の栗のお菓子。秋の最強ペアですね。
秋の夜長はそんな秋の味覚を味わって過ごすのはいかがでしょうか。
(satomin@日本茶インストラクター)
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