TOKIOデビュー20周年!不遇な時代を乗り越えて勝ち取ったものとは

2014/7/16 19:00 柚月裕実 柚月裕実

デビュー20周年を迎えたTOKIO。若かりし時代とはまた違った魅力にあふれ、TOKIO人気が止まらない。



日曜夜に放送中の『THE鉄腕DASH』(日本テレビ系)では、TOKIOが言葉を発する前に「0円食堂?」と聞かれるほど、気がつけば知名度抜群のグループに成長していた。

バンドに農業、建築、漁と、ジャニーズの数あるグループの中でも珍しいスタイルを貫く彼らだが、しっかりと足場を固めて幅広い層から人気を集めている。そんなTOKIOのこれまでを振り返ってみた。


■平均年齢40歳、ずっと5人でやってきたTOKIO

TOKIOはリーダーを務める城島茂に、山口達也、国分太一、松岡昌宏、長瀬智也の5人組のグループで、デビュー当初からメンバーは変わらない。肩書もアイドルではなくロックバンド。最近では棟梁、農業従事者という肩書もしっくりくる。

かつて小島啓というメンバーがいたが、デビュー直前に退所。サポートメンバーだった長瀬が正式加入して、CDデビューを果たす。当時メンバーの入れ替わりには衝撃が走ったが、ジャニーズJr.の退所理由は公表されないのが慣例。真相は謎のままだ。1994年のデビュー以降メンバー構成に変化はなく、5人揃って20周年を迎えた。

歴代ジャニーズの中でもバンドスタイルで息の長い活動をしているグループは珍しく、先輩後輩に「国民的アイドル」がいるならば、TOKIOは「庶民的ロックバンド」と呼んでもいいかもしれない。メンバーの中で最も若い長瀬智也も35歳、平均年齢も40歳になった。昔は「殴り合いの喧嘩をした」なんて記事を目にしたものだけど、血気盛んな時代を経て、いまではメンバー愛に溢れる姿を目にすることが多い。


■取れなかったデビュー曲オリコン1位

TOKIOのデビュー曲は「LOVE YOU ONLY」。この曲が最も枚数を売り上げたが、意外にもオリコン1位を逃している。『日経エンターテイメント』(8月号/日経BP社)の特集「TOKIOが築いた20年」では、メンバーがこれまでの20年を様々な角度から振り返っている。その中にこんなエピソードがあった。

国分「正直、もっと売れると思ってたよね(笑)先輩たちは1位をとり続けていたから想定外ですよ。さらに2枚目のシングルで最高順位が7位。これはちょっと…思い描いていたものと違うなと」

上を見上げれば少年隊、光GENJI、SMAPがいて、後輩にはV6にKinkKids、嵐と続く。かつてバンドで人気を集めた男闘呼組も、残念ながら解散に追い込まれた。そんな経緯もあり、当時バンドスタイルは一からの試みだったはず。また、ジャニーズはオリコンランキングの常連だけに「1位を獲得して当たり前」という環境下で、多少なりともプレッシャーを感じていたことだろう。しかしTOKIOはここから二度のレコード会社移籍を経て変化を遂げる。


■記憶に残るTOKIOの楽曲

デビュー当時はタンバリンを叩いていた長瀬。しかし今ではメンバーが作った曲を、一度ボーカルの長瀬を通してから仕上げるという。この20年の間に音楽も追求していたのだ。メンバーの松岡も長瀬のアレンジ能力を信頼して「長瀬が言うならば」とこだわりを変えることもあるそうだ。

バンドにありがちな「方向性の違いによる解散」もTOKIOとは無縁のような気がする。用意されたシナリオや敷かれたレールの上で戦うのではなくて、自然とか音楽とか無限の可能性を秘めた場所で、技術と工夫とユーモア、そしてチームワークで縦横無尽に動き回る姿を見ていると、解散という選択肢は選ばないはず。そもそも「5人でやっていく」という覚悟を感じる。

彼らは今年『SUMMER SONIC 2014』などの夏フェスへの出演が決定している。これはジャニーズ初の快挙で、きっと他のグループでは成し遂げられないことだろう。二度のレコード会社を移籍して辿り着いたのは、自分たちで音楽を作ること。昨年から原則として全楽曲を自分たちで書くことにしたそうだ。

記録には残らないけれど、記憶には残る、どこかで耳にしたことのあるフレーズだけど、TOKIOの音楽にもぴったりの言葉だ。


先日放送された『THE MUSIC DAY 音楽のちから』(日本テレビ系)では、TOKIO単独のステージに加えて、ジャニーズ7組、総勢40名をシャッフルして、ジャニーズ歴代の名曲を披露した。楽器も農機具も持たない、アイドルとしてのTOKIOを久々に目にした。

歌って踊る姿は輝かしくて、Jr.時代に身につけた能力はそう簡単に廃れるものではないことを感じた。でもその感動の翌日、番組のロケでは塩田で塩を作っていたわけで……。このギャップの激しさと、何でもやってのけてしまう能力の高さはTOKIOの魅力の一つ。

「男のロマン」をロマンで終わらせないTOKIO。どの枠にもハマらないスケール感が、男性からも厚い支持を集める理由の一つだと思う。この先50、60歳になっても今と変わらず5人で歌をうたい、自然の中ですごい物を作ってくれそうだ。ジャニーズの中で、具体的に将来の姿を想像できる唯一のグループかもしれない。


(柚月裕実)