水玉かぼちゃのあの人も!?『不思議の国のアリス』に魅入られたアーティストたち

2022/7/28 20:05 KIN KIN



ウサギに導かれ不思議な国に迷い込んだアリスが体験する奇妙な出来事。マザーグースの登場人物やトランプなどの癖のあるキャラクターたち。

ルイス・キャロルが書いた「不思議の国のアリス」、そして続編の「鏡の国のアリス」はファンタジーとして心を躍らせながら読んだ人も多いはず。

変わったことばかり起こるへんてこりんな物語、皮肉が盛り込まれた様々なエピソード。癖のある愛すべきキャラクターたち。アリスが体験する物語の魅力は数々のアーティストたちをも魅了していきました。


「不思議の国のアリス」挿絵:ジョン・テニエル
Wikipedia「不思議の国のアリス」より

そして忘れれないのが物語についている挿絵です。一番有名なのがイギリスで出版された初版で挿絵を描いたジョン・テニエルのもの。この絵でアリスを覚えたという人も多いのではないでしょうか?他にもディズニーのアニメの絵の記憶が残っている人も多いかもしれませんね。

この物語に魅入られた作家は数多く、様々なイラストレーターやアーティストが挿絵を描いています。いろいろなアーティストたちが挿絵を手掛けたアリスの本、今でも手に入るものを中心に紹介したいと思います。



「不思議の国のアリス」挿絵:ジョン・テニエル
Wikipedia「不思議の国のアリス」より

ジョン・テニエルの絵は、作者のルイス・キャロルの意見も取り入れながらつくりあげられ、アリスのイメージを確立するものになりました。

また、1930-70年代にかけてはマリー・ローランサン、サルバドール・ダリ、マックス・エルンスト、ピーター・ブレイク、ラルフ・ステッドマンなどの画家たちもアリスの挿絵を手掛けています。



AMAZON『不思議の国のアリス(トーベ・ヤンソン版)』
ルイス キャロル (著), トーベ ヤンソン (イラスト), & 3 その他

なんと、あのムーミンを書いたトーベ・ヤンソンが手掛けた挿絵の「不思議の国のアリス」。まるでムーミンじゃないの!と言うくらい作家の色が出ていて、ムーミンファンは必読だと思います。



AMAZON『不思議の国のアリス』
ルイス キャロル (著), リスベート ツヴェルガー (イラスト)

オーストリアの絵本画家、リスベート・ツヴェルガーが手掛けたアリスも魅力的です。表紙からして、落ち着いた色合いなのに何か不安定な空気が流れている様にも見えます。



AMAZON 『不思議の国のアリス』
ヤン・シュヴァンクマイエル画 (著), ルイス・キャロル著 (著), & 1 その他

チェコの人形アニメーション作家であるヤン・シュヴァンクマイエルもアリスに魅入られた一人。絵本以前に人形アニメーション作品で『アリス』と言う不思議の国のアリスをイメージした作品を作っています。



AMAZON『不思議の国のアリス (とびだししかけえほん)』
ロバート・サブダ (著)



AMAZON『Alice's Adventures in Wonderland』
英語版 Lewis Carroll (著), Robert Sabuda (著, イラスト)

そしてアリスの絵本のある意味、決定版とも言えるのがこのロバート・サブダが手掛けた飛び出す絵本。オリジナルの雰囲気を活かしながらも飛び出し具合がオリジナリティあります。



見てください。この飛び出し具合!うちにあるのは英語版ですが、開くだけで楽しいのでこれでも楽しむことができます。



AMAZON『不思議の国のアリスWith artwork by 草間彌生』
ルイス・キャロル (著), 草間彌生 (イラスト), 楠本君恵 (翻訳)

日本人アーティストもアリスを手掛けています。あの水玉かぼちゃで有名な草間彌生の手掛けたアリス。ああ、草間さんの水玉ですね……。



AMAZON『不思議の国のアリス (新潮文庫)』
ルイス キャロル (著), 金子 国義 (イラスト), Lewis Carroll (原著), 矢川 澄子 (翻訳)

金子 国義が手掛けたアリスは今では文庫で手に入れることができます(鏡の国も文庫であります)。金子さんのタッチのアリスなんて、まずは手元においておきたい本ですね。



AMAZON『不思議の国のアリス』
ルイス・キャロル (著), 佐々木 マキ (イラスト), 高山 宏 (翻訳)

絵本作家、イラストレーターとして有名な佐々木 マキのアリス。佐々木さんワールド全開ですね。なんども読み直したくなる本です。



MOE 2014年 3月号

酒井駒子が表紙を手掛けた2014年のMOE (モエ) 03月号が不思議の国のアリス特集。すでに新刊ではこの雑誌は手に入りませんが、酒井さんファン、アリス好きにとっては大事な特集号です。

他にも和田誠、中島潔、宇野亜喜良、山本容子などと様々な作家たちがアリスの世界に取り込まれ、取り込んでいったようです。


さて、とても魅力的なアーティストたちの名前が並びましたが今では手に入らない本なども多いです。こうなると原画など見て見たくなりますよね。現在、東京 六本木で開催されている展覧会「特別展アリス― へんてこりん、へんてこりんな世界 ―」でいくつかを見る事が出来ます。



ジョン・テニエルはもちろんのこと、クリス・リデル、サルバドール・ダリ、マックス・エルンスト、ピーター・ブレイク、草間彌生、金子國義、酒井駒子、ヒグチユウコなどが描いたアリスが展示。

他にもヤン・シュヴァンクマイエルやティムバートンなどの映画で取り上げられたアリス、衣装や広告、演劇などカルチャーにおけるアリスを体感できる展示になっていました。世界観が作りこまれているのでアーティストたちの名前を知らなくても、不思議の国に飛び込む感覚で楽しめる展覧会になっていました。


特別展アリス― へんてこりん、へんてこりんな世界 ―
https://macg.roppongihills.com/jp/exhibitions/alice/
森アーツセンターギャラリー 2022/7/16-10/10

この夏、様々なアリスの世界を展覧会や本で体験してみるのも面白いと思います。