早すぎた黒人女優？黒いモンロー“D・ダンドリッジ”のSEXYな美貌と歌声

2016/9/15 14:25

美女

近年アメリカでは、ビヨンセ、リアーナ、アリシア・キーズなど、褐色の肌がSEXYなスター達が、その抜群のスタイルと才能で世界中の人々を魅了していますが、かつて、黒人女性はいかに美しく才能に溢れていてもなかなかスポットライトが当たらない時代があったようです。

Alicia keys pic.twitter.com/DwTCrYqvhW
— ¡BURNITUP! (@popnations1814) 2016年9月4日

2002年、ハル・ベリーが黒人女優として初めてアカデミー賞主演女優賞を授賞した時、感謝の言葉とともに尊敬する先輩黒人女優として名前をあげたのが、“早すぎた黒人女優”と呼ばれるドロシー・ダンドリッジです。今回はそんな、1922年生まれの、今から94年前に誕生したキュートでSEXYな美女の魅力と、いろいろな意味で“早すぎた”人生を、ご紹介したいと思います。

Dorothy Dandridge, the first Black woman to be nominated for Best Actress (Oscars).
(Nov. 9, 1922 - Sep. 8, 1965) pic.twitter.com/onUfY3LMV1
— Pride & Pettyness (@donniscollins) 2016年9月9日

ドロシー・ダンドリッジは1922年オハイオ州のクリーブランドで生まれました。キャリアの始まりは、教会で歌うこと……と聞くと、ダイアナ・ロスやビヨンセをはじめとする後の黒人スターに通ずるものを感じます。

黒人美女というと、思わず女豹のようなSEXYスタイルの、ワイルド系クールビューティーを思い浮かべがちですが、ドロシーは、東洋人にも人気が出そうなフェミニンで甘い顔立ち。“黒いマリリンモンロー”とも呼ばれる可愛い女性でした。加えて、そのボディラインは、褐色の肌の魅力を最大限に発揮する柔らかく豊満な曲線を描いています。

#OTD
September 8, 1965, Dorothy Dandridge was found dead: age 42. The cause of death was a barbiturate overdose. pic.twitter.com/j8jGFEAveq
— Connie Landro (@clandro) 2016年9月8日

1930年代後半に、女優としての活動を始めたドロシー。1937年には、実姉とエッタ・ジョーンズと3人で“ダンドリッジ・シスターズ”を結成し歌手デビュー。『コットンクラブ』などに出演して腕を磨きます。やがてドロシーの美貌はスカウトマン達の目を引き、ソロとして引き抜かれます。黒人歌手グループで美少女だけ重用される……映画『ドリームガールズ』などでもお馴染みの、アルアル展開にも思えます。

Come tomorrow. See the gorgeous and talented @ShellbellThomas as iconic #DorothyDandridge https://t.co/MkwLl3Sobe pic.twitter.com/8d1KLK5lN7
— Frank Harts (@senatorharts) 2016年9月5日

当時は、まだトイレやプールすら人種別に分けられていたほど、差別が激しい時代。ハリウッドでの有色人種女優の活躍は夢のような話しでした……。しかしドロシーは、1954年、オットー・プレミンジャー監督が黒人だけを起用した異色のミュージカル『カルメン』でヒロインに大抜擢されます。結果、彼女の情熱的な演技は評判を呼び、人種差別が色濃く残る50年代に、人気雑誌『ライフ』の表紙を飾り、アカデミー賞主演女優賞にもノミネートされます。

Venus d'ébène..Dorothy Dandridge nommée Oscar meilleure actrice 1955 pour trop méconnu Carmen Jones @GarconsOfficiel pic.twitter.com/L53sMfWuuc
— Philippe Rouyer (@philippe_rouyer) 2016年6月25日

ちなみに、この年にノミネートされた他のメンバーはグレース・ケリー、オードリー・ヘプバーン、ジュディ・ガーランド、ジェーン・ワイマン（ロナルド・レーガンの最初の妻）と錚々たる顔ぶれでした。結果、グレース・ケリーがオスカーを手にしますが、時代が時代なだけに、人種差別意識の影響が皆無だったとは思い難いです。

Grace Kelly con su Oscar como mejor actriz por 'The Country Girl', 1954 pic.twitter.com/OuWLtEbjcN
— Pinceladas de cine (@Pinceladasdcine) 2016年6月18日

その後もドロシーは女優を続け、同じくオットー・プレミンジャー監督の『ポギーとベス』などに出演しましたが、“黒いマリリン・モンロー”というニックネームからもわかるように“セクシーで可愛いお姉ちゃん”のイメージが強かった彼女。アカデミー主演女優賞にノミネートされたのが30代前半と遅咲きだったこと、黒人女優を色っぽい女の子から大人の女優へと育てる土壌の無い時代だったこと……彼女にとって不利な要因が重なり、次第に役の幅が狭まってきます。

Harry Belafonte and Dorothy Dandridge on the set of BRIGHT ROAD ('53) pic.twitter.com/jn5pzLdJwl
— TCM (@tcm) 2016年9月6日

加えて、“白人に好かれる黒人女優”というイメージが、“媚び”のように解釈されたのか、黒人社会からも敬遠されてしまいます。アメリカには「アメリカで成功した黒人はまず白人に嫌われ、次に黒人に嫌われる」という言葉があるとのことですが、人種間の対立がはっきりしていただけに、現代よりその傾向は顕著であったと思われます。