恋愛発覚で土下座…ドラマ「武道館」第1話がなんとも生々しい!

2016/2/13 11:00 小池啓介 小池啓介


【公式】ドラマ『武道館』超最速スペシャル映像!


去る2月6日、土曜日の夜から、アイドルが主役になったドラマ『武道館』がスタートしました。(毎週土曜よる11時40分/フジテレビ系列)

アイドル・グループJuice=Juice(ジュース・ジュース)が架空のアイドルを演じるということでも話題になっているようですね。

原作は2009年に『桐島、部活やめるってよ』でデビューした朝井リョウによる同名の小説で、文藝春秋から昨年刊行されています。作品内の5人組アイドル・グループの名はNEXT YOU(ネクスト・ユー)。Juice=Juiceの5人のメンバーがそれぞれの役を演じています。


■アイドルたちが生きる世界とは?

記念すべき第1話は、「日本中のアイドルが武道館を目指して活動している」という大仰な男性のモノローグからはじまります。この自信満々な決めつけがいいですね。

ドラマの語り手は、「ハカセのアイドル研究所」というブログを運営するハカセ。NEXT YOUの一員である愛子推し(≒ファン)にして、アイドル界隈で「カリスマ」と呼ばれているらしいブロガーです。演じるのは六角精児。

第1話(タイトルは「アイドルは恋愛×禁止!」)の見どころは、情報の巧みな提示ということになるでしょうか。原作に合わせて心理描写をメインにせず、敢えて映像で見せることのできる部分に力を入れている印象をもちました。

レコード会社内の一室で、グッズ売上のデータをもとにネガティブな会話がかわされる冒頭において、チーフマネージャー(木下ほうか)が発するのは
「売れるもんは何だって売るんだよ」
というなんとも下世話なセリフです。

場面変わって、会議室。リレー形式で1枚の色紙にひたすら各自のサインを書きつづけるメンバーの姿が映ります。 そのなかで、メジャーデビュー前にNEXT YOUから「卒業」したメンバー(真野ちゃん!)が最近ぱっとしないことや、恋愛が発覚したアイドルが動画サイトで土下座をする姿などについて、どこか暗い話題が続きます。

売れないCD、卒業後の活躍の難しさ、恋愛発覚――アイドル界のやや後ろ向きなキーワードが並べられていくのです。なんとも生々しいですね。こういった情報は、女性アイドル文化に馴染みのない人こそ興味深く見られるのではないでしょうか。


ここで公式動画をもう1本。あらためましてNEXT YOUのメンバーがこの5名です。




続いて映像は、原作小説の主人公でもある日高愛子(ドラマ版はJuice=Juice宮本佳林が演じています)にフォーカスしていきます。

帰宅後に部屋でひとり“エゴサーチ”をする愛子。ネットのコメントにはアイドルを勇気付けるものもあれば、ひとりの人間を深く傷つける心無い一言もある。

つまりドラマ第1話では、“彼女たちが生きる世界とはこういう場所なのだ”という“設定”が明かされていくわけです。


■キーワードは「武道館」と「恋愛」

エゴサーチで大いに凹んだ愛子は、別れて暮らしているらしい母と幼なじみの男の子「大地」にメールを送ります。

この導入部の最後で明らかになるのは、愛子には――幼なじみとはいえ――心をひかれる男性が存在するという事実。並列にとらえられていたアイドル界のキーワードのなかに、波乱の要素がひとつ浮かび上がりました。

ここで突如、場面はハカセの部屋に移り……「アイドル・ファンは彼女たちに魂を捧げている」「ファンを笑顔にさせるために青春のすべてを捧げる生き物だ」と彼は独白する。かなりどぎついモノローグです。

さらに、
「プライベートでも24時間アイドルであることを求められる。もちろん、恋愛などもってのほかだ」
とまで言い切るハカセ。ハカセ、怖い。

愛子が大地と束の間のコミュニケーションをとったあとの場面に、この言葉がかぶさってくるのです。ハカセ、怖い。 やはり「恋愛」は第1話のタイトルというだけではなく、物語の今後の展開に対して大きな意味をもつようです。

ドラマ初回は、タイトルにある「恋愛禁止」以外にもアイドルをとりまく状況、その要素をこまかく映し出すことで、物語の設定、世界観――さらにいうなら“ルール”を提示したかたちになりました。

同時に、NEXT YOU以外の登場人物も一通り紹介されたのですが、一瞬しか登場しないにも関わらず、その誰もが強く印象に残りました。脚本と演出、さらに演じる役者たちの力のなせるわざでしょう。決して長くはない時間に、実は繊細な手つきで、あらゆる情報が編集され詰め込まれている。まさしくプロの仕事ですね。

でも、なによりも驚いたのは、Juice=Juiceのメンバーが実に自然にNEXT YOUと化していたことです。失礼ながら、これは良い裏切りでした。


■おもしろくなりそうな予感

「アイドルが武道館を目指す」ことと「恋愛の禁止」

この2つが、これからの物語を推進させる、重要なキーワードになりそうです。徐々に重たいテーマが読み手の心に沁み込んで来る原作に対し、ドラマ版は、どういったポイントに着目していけば良いかがとてもわかりやすく提示されていました。抜群の導入回といえるのではないでしょうか。
ただ小説版をなぞるだけではない、いわば小説の再構築として非常におもしろい映像作品になりそうな予感がします。

なお、ドラマ『武道館』には、フジテレビのドラマ本編以外にも様々な映像が作られています。BSスカパー版では本編に追加映像を加えたバージョンが公開され、動画サイトでは撮影の裏側も覗けてしまいますが(Juice=Juiceのコアなファンではなくとも興味深く見ることができるはず)、本稿では周辺情報は切り離し、いったん地上波のドラマ本編と原作小説の両輪を中心に、アイドルが「物語」としてどう描かれていくのかに注目していきたいと思います。

最後にNEXT YOUでシングル『Next is you!』を。この楽曲がドラマの行方とどうシンクロしていくのかも楽しみのひとつですね。




(小池啓介)


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