「アメトーーク!Perfumeスゴイぞ芸人」で見えた本当のすごさとは

2015/11/7 10:00 小池啓介 小池啓介

STAR TRAIN(初回限定盤)(DVD付)
Perfume「STAR TRAIN(初回限定盤)(DVD付)」/Universal Music


10月29日にテレビ朝日で放送された『アメトーーク! Perfumeスゴイぞ芸人』を見ました。この番組ならではの熱のこもった非常におもしろい内容でしたが、それだけではなく、なぜファンはPerfumeの魅力を他人に語りたがるのかについての答えがここにあった気がします。

ご存知でない方へ念のため説明しておきますと『アメトーーク!』は、雨上がり決死隊が司会を務め、決められたテーマについてお笑い芸人の方が中心になって魅力を語る番組で、深夜帯ならではのニッチな対象のセレクトのおもしろさとマニアックな視点をからめたトークが人気を博しています。

今回の企画は、お笑いコンビ・サバンナの高橋茂雄が猛プッシュしたことで実現したとのことで、結成15周年、メジャーデビュー10周年というPerfumeのアニバーサリーイヤーに大きな花を添える出来事でした。


■充実の内容

発起人ともいえるサバンナ高橋と、プライベートでも特にあ~ちゃんと交流が深いハリセンボンの近藤春菜が中心となってトークは進みました。

プレゼンする側には、ふたりに加えてモデルの栗原類、ダイノジの大谷ノブ彦、流れ星ちゅうえい、そしてバンド・ロマンポルシェ。の掟ポルシェが出演。魅力を知りたい人たちとしてIKKO、千原ジュニア、バカリズムが並びます。

ちなみに、掟ポルシェはファンから「掟さん」と親しみを込めて呼ばれる、初期のPerfumeの活動を支えた最重要人物といえるミュージシャンで、彼の出演が報じられたときファンは大いに盛り上がったものです。

番組では、ライブ演出のすごさや簡単そうに見えて実は複雑極まりないダンス、ブレイクまでの苦労話に加え、天然揃いのキャラクター面を掘り下げるなど、幅広い側面からPerfumeにアプローチしていました。

お笑い芸人の方たちが“笑いを交えて”テーマを紹介していくのが趣旨ですから、やはり彼女たちの“天然”な人柄に話題が大きくシフトしていくのは当然といえるでしょう。

千原ジュニアやIKKOが理解者としてその魅力に引き込まれる姿を見せるのと反対に、バカリズムが突っ込み役として絶好のスパイスとなっており、語り手と聞き役がかみ合ったバランスのよい内容に、個人的に大いに満足させてもらいました。


■なぜ今、Perfumeなの?

ところで、なぜ今、Perfumeなのか?
メジャーデビューから数えてもすでに10年――アイドルでいえば大ベテランです。音楽グループという見方をしても、独自の立ち位置を得た大物感たっぷりの中堅といったところでしょうか。

もちろん結成して15周年を迎えるのは素晴らしいことですが、知名度はもう十分にあり、活動の足場も固まり、株価でいえば、ちょうどよいくらいの位置で高止まりしている状態。

その反面、2007年から2008年にかけて「ポリリズム」によって突如メディアを席捲し始めたころにあった、「Perfumeって誰? 何?」といった興味は世間にはさほどないのではないかと思うのです。

けれども、アメトークは非常におもしろい内容でした。いまのPerfumeの存在がよくわかったからです。

Perfumeには、実は一般にあまり知られていない顔がある。そして、なぜだかそれを語りたくなる。乱暴にいってしまうと、テレビに出ている――楽曲とダンスでクールにかわいく魅せる――Perfumeは本当のPerfumeの一部でしかないと声を大にしていいたくなるということです。

もちろん、これはどんなグループのファンでも常日頃思っていることでしょうが、Perfumeの場合は“見えない部分にこそ魅力の本質があると思う”からこそ、ファンは若干やきもきしてしまうのです。

前のめりにプレゼンするサバンナ高橋をはじめとする出演者たちからも、そんな感覚がひしひしと伝わってきました。


■ファンをおせっかいにさせてしまう存在

伝えたいのは、一言でいえば多面性。でもそれって、音楽番組にちょっと出演した程度では伝わらないことです。かといって長めのテレビ番組で特集されたとしても、Perfume自身が“よそゆき”になりがち。

また、近年のPerfumeのライブは最新のテクノロジーをライブ演出に取り入れることが大きなテーマとなっていますが、その全貌をテレビを通じて届けることはまだまだ困難なようです。プロジェクションマッピングを取り入れたライブの映像を見た雨上がり決死隊の蛍原徹が発言していた通り、一度VTRをちょっとみただけでは何が起こっているかわからない部分もあります。

バカリズムが「必要なんですか?」と突っ込みを入れていた、観客も参加するコール&レスポンスや一緒にダンスをする、ぐだぐだなゆるさが極まる「PTAのコーナー」も、かつて縮小版をテレビで披露したことはあるのですが、“くどさ”が足りなかった。

番組内で“緩急”と呼ばれたその魅力のすべてを余すところなく存分に発揮してくれるのは、やはりライブの場にほかなりません。あの時間と空間があって、やっとすべてを伝えられるのでしょう。

番組後半では、サバンナ高橋がPerfume初心者の阿佐ヶ谷姉妹の渡辺江里子とともに武道館のライブを楽しむ映像が流れましたが、個人的には出演者全員に行ってほしいくらいでした。

その魅力をライブ会場だけに封じ込めておくのは惜しい。そんなふうに、多くのファンはやきもきしてしまう。テレビを見ていると、いやいやPerfumeはまだまだこんなもんじゃないんだよと、どこか物足りなさを感じている。

ファンをおせっかいにさせてしまうのが、Perfumeのもつ何とも不思議な魅力ではないかと思います。かくいう僕も、このような場を私物化して及ばずながらPerfumeを布教しようとしています。そんなファン気質は『アメトーーク!』の趣旨にぴったりとハマっていました。

優しい“おせっかい”がトーク巧者のタレントたちとテレビ番組の制作者の手によって、ぐっと興味を引き付けるおもしろい企画に昇華されていたのが『アメトーーク! Perfumeスゴイぞ芸人』の回だったのではないでしょうか。

残念ながら、現在Perfumeにライブの予定はありませんが、折よく海外ツアーに密着したドキュメンタリー映画が公開されています。『アメトーーク!』で少しでも興味を持った人は、ぜひ足を運んでみてください。すごい三人組が、スクリーンに映っています。


「WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT 予告篇」

(小池啓介)