「危険ドラッグ」に漂う「E電」臭。やっぱり定着しなかった残念ネーミングまとめ

2014/7/23 18:50 服部淳 服部淳





どうも、服部です。「脱法ハーブ」「脱法ドラッグ」などと呼ばれていた薬物の新名称が(2014年)7月22日に発表されましたね。その名も「危険ドラッグ」。「危険ドラッグ」? 国家公安委員長が大まじめに会見してそれかい!と、思わずツッコミたくなるこのネーミング。

そういえば昨年(2013年)5月には「オレオレ詐欺」に代わる名称が発表されましたが、すぐに思い出せる人ってどのくらいいるんでしょうね? ちなみに「母さん助けて詐欺」です。最近テレビでニュースを見てないので分かりませんが、少なくともネットのニュースでは、この「母さん助けて詐欺」ってものを目にすることって皆無な気がします(だいたい8文字とか長すぎ)。

そして、こういう塩っぱいネーミングがニュースに登場する度に脚光を浴びる大先輩がいらっしゃいます。「E電」です。ツイッターでもこのとおり。





「E電」をご存じない方に説明しておきますと、

“E電(イーでん)とは、1987年(昭和62年)の日本国有鉄道(国鉄)分割民営化に伴い、「国鉄(近郊区間の)電車」の略称である「国電(こくでん)」に代わるものとして、東日本旅客鉄道(JR東日本)が決めた愛称。”

“約5万通の応募の中から小林亜星らによる選考委員会によって、2位の「首都電」、9位の「JR電」、20位の「E電」の3つにしぼり込まれた。ちなみに1位は「民電」だった。”

“大々的にネーミングされたが、結局は普及せずにほとんど使われなくなった。「国鉄」の代替呼称である「JR」が、広く元の「国電」を含むものとして定着し、多くの人は「JR」または「JR線」を「E電」の代わりに使用するか、路線名(例:山手線)を直接呼ぶことで代替するようになった。”
(以上、Wikipediaより)

定かではないですが、決定して2、3年後にはすでに笑いのネタになっていたように覚えています。JRとしても、やがて使用しなくなり。


上の写真は「E電」の表示が最後まで残っていたといわれる、JR蒲田駅内の表示かと思われます(2007 年から始まった駅リニューアルにより撤去されています)。

前置きが非常に長くなりましたが、今回は「E電」的、残念なネーミングをザックリまとめてみたいと思います。



●共通くん
これは記憶にある人がどれだけいるんだろうというレアもの。関東エリアのバス会社で使える共通の回数券で、公募で決まった名前だったんですが、ネットにすら情報がほとんどなく……。

と、思いきやありました。しかも写真まで掲載してあるー。ということで、こちらをご覧ください。→これを書かずに俺は死ねん 81 共通くん



●実年
覚えてますでしょうか? 「実年」。中年以上、老人未満の名称として、厚生省(現厚生労働省)が1985年(昭和60年)に公募して決めたことばです。具体的には50、60歳代の年齢層をさす語なようですが、なかなか使われぬ間に最近では見ることもなく(役所では使われているとも)。



●バスケットボールストリート(通称:バスケ通り)
続いては、比較的最近のヤツです。2011年に東京・渋谷の繁華街である「センター街」が改称され、これになりました。改名理由はこちら。

“一時期不良のような若者が集まる場所として有名になり怪しい外国人も出没した。警察の取締り強化、パトロール隊の治安維持・美化運動によって街の安全性は向上したが、依然として「怖い・危ない街」としてのイメージが残っていることから、若者の持つ『情熱』『エネルギー』を、クリーンなイメージを持つ『スポーツ』と結びつけ、渋谷の『若者・ファッション・音楽・文化・国際性』という持ち味を全て表現できるのは『バスケットボール』だと判断したことから”(以上、Wikipediaより)

「バスケットボール」だと判断したんですね。なるほど。



●BIG EGG(ビッグエッグ)


お次は「E電」登場の翌年、1988年開場の東京ドームの愛称「BIG EGG」。これは現在もWikipediaに記載されていますが、そういえば最近まったく聞かないですね。ちなみに、「BIG EGG」とは「BIG Entertainment & Golden Games」の略なのだそうです。ネーミング自体悪くないと思いますが、「別に『東京ドーム』って呼べばいいんじゃね?」ということなんでしょうね。



●ゆめもぐら
最後は、未遂で終わったこちら。1999年(平成11年)、翌年に開業する東京の地下鉄「都営12号線」の路線名の公募が行われ、正式名称は「東京環状線」、愛称として「ゆめもぐら」が第一候補となります。ところが、時の東京都知事・石原慎太郎氏が実際には環状になっていないのに「環状線」と名付けるのは紛らわしいと「東京環状線」案を脚下。どういうワケか「ゆめもぐら」も不採用となりました。その後再選考が行われ、同じく公募で寄せられていた「大江戸線」に決定しました。

「ゆめもぐら」が採用されていたらと妄想すると、なんだかモッタイナイ気もしますが(「六本木まで、ゆめもぐらで行く?」なんてあえて言いたいですね)。

(服部淳@編集ライター、脚本家)



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